吟詠旅譚


 
世界が混乱にうちふるえる間、
人々は、それに打ち勝つ英雄を求めた。
 
天の加護と地の恩恵と、
そして、何より人々の願望を受け、
その英雄は武器を取る。
 
しかし世界に平和が訪れた時、
英雄は歴史の表舞台に立つことを許され得なかった。
 
平和な世界に、
力を持ちすぎた者の存在は受け入れられなかったのだ。
 
――物語の始まりは数千年の後、
誰もが英雄の存在を忘れた頃にやってくる。
 
少年達は道を求めて、
まるで英雄の影を縫うように、
ひっそり静かに歩み始める。
 
理由なんて、ここにはない。
打ち捨てられた英雄が、
それでも尚、己が世界を愛したように。
 
 
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