旅の歯車


■ ついに「旅の歯車」が本当の意味で完結しました。
ここまでおつきあい下さった皆様、本当に本当にありがとうございます!!

■ リメイク作業を終えるにあたって、あとがきはどうやって書こうかな…と色々考えてもみたのですが、やはり「ファンタジーな100のお題」として完結させたときに書いた気持ちははずせないだろう、ということで、当時のあとがきを引用しつつという形式をとってみます。
って言っても細かいところは制作手帳のレビューで書いていますから、付け足すことは少ないのですが(笑


■ 思い起こせばこのお話、2003年4月17日、つまり三年と少し前(当時の私は高校二年生だったようです)に公開を始め、途中受験や他の創作物にうつつを抜かしつつ、ちびちびちびちび進めてまいりました。
もともと完成されているお題を、順番も変えずに一つのストーリーとして続けるなんて、今の私にはとてもじゃ無いけど考えられません。そんな企画を立てるなんて、当時の私ってばやっぱり若かったんだなあ……。本当に、思わず自分に対して「あんた馬鹿じゃないの」と言ってやりたくなります。よくまあ書き終わったもんだ。
うん、うん、ホントだよ。


■ 時計の守り人である(過去形?)少年とヒバリの旅は、私の創作活動の中で、恐らく一番の過渡期に進んで行きました。「未開の島」時代をご存じの方にはおわかりいただけるかもと思うのですが、この作品の前に書いていた色々と、この作品を書き始めてから書いている色々とでは随分作風も文体も違います。
この話を書いていく間、自分の中で一番気を配っていたのが、「空気」でした。最近は話を書く度、この話の(ストーリーとしてではなく、書いていく上の)テーマは「構成」だとか「人物」だとか「心理描写」だとか一々決めているのですが、そういえばそういうテーマを持って書き始めたのも、この作品が初めてだったかな。
今作は大した構成表もつくらずに三年もかけてしまったのもあり、構成や描写などは色々と難点がありますが、100題通して書いていくうちに、「空気」は、そこそこつかめるようになってきたんじゃないかな、と思います。自己満足かも知れませんが。

■ ゲストさん達のこと。100題完結〜ということでゲストさん達のプロフィールも載せてみました。こちらも、「未開の島」時代をご存じの方は、メインだったり期間限定だったりで載せていた物ばかりなので、もしかしたらご存じかも??
どの子も思い出深い子達なので、ああいうふうに登場させられて満足です。
リメイク版では大分数が減りましたが、それでも総勢十名のゲストさんが登場しました。プロフィールと作品紹介はこちら。いずれも私にとっては大切な思い出ですが、既に書かなくなってしまったり、話の主題を大きく変えて新たに話を書き始めた子達ばかりです。そういう意味では彼らも、破壊者の言うところの「記憶の死に損ない」なのかもしれません。

■ 「ここに全ての答えがあるとしても、僕はそれを見てはいけないんだ。さあ、行かなくちゃ。僕はこれから色々なものを見て、聞いて、自分の力で知っていくべきなんだ」
「そこにあるものに触れてみたい。それは暖かいのか。それとも、冷たいのだろうか。君もまだ、この目の前にある『何か』がなんなのかなんて知らないだろう。僕だって知らない。何故って、今まで誰もそんなことに、関心を持とうとしなかったんだから」
一つ目のが、100のお題の001-050を書いていた時、二つ目のが、051-100を書いていた間に、100のお題ページのエントランスに表示していた台詞です。そちらはあってるんだか間違ってるんだかわからない英文で表示していたため、本分では意訳していますが。
最後の方のお題で使うことは始めから決めていたんですが、ストーリーの大筋自体が当初の危うげな予定からかなり変わっていったので、一時は使えるかどうか自体微妙なところでした。でも、出せて良かったな。
その他にもリメイク版にはもう一つ、本編を通して特筆しなくてはならない一文があります。
「自分という存在は歯車だ。少年は思った。そして今までに見た太陽の光、星の瞬き、人々の歓声、木々のざわめき、一つ一つがまた、あの時計の歯車だ」
「019:長い夜」と、「100:白い地図」に登場した文章です。
リメイクをするにあたりタイトルを考えていて、ふと思い出したのが、この文章でした。
無くてはならない一という存在。大きな一の中に包括されている、小さな一という存在。その小さな一が、やがて世界を知っていく。
旅をする小さな「世界」、この物語はそういう意味で、「旅の歯車」と題しました。


■ 今後は、「吟詠旅譚」という新しい話を進めつつ、こちらのお題もちょっとずつ書き直していこうかなと思っています。一度公開したものはあまりちょくちょく書き直さないっていうのがモットーなのですが、完結後一回くらいは良いかななんて。ほら、雑誌で掲載されてた小説とかも、単行本になる前に一度大幅加筆があるじゃないですか(笑
全部終わるまでに、また更に一年くらいかかりそうですけど。
私ったら、良いカンしてます。

■ 最後になりましたが、素敵なお題を提供してくださったトキ様、本当にありがとうございました。「ファンタジーな100のお題」には、楽しませて頂くと同時に、色々と学ばせて頂いたように思います。
このような長文におつきあい頂き、皆様本当にありがとうございました。
長らく続けて参りました、透的「ファンタジーな100のお題」あらため「旅の歯車」、これにて完結です。
最後までお付き合いいただきました皆様、本当に本当にありがとうございましたっ……!
ありがとうございましたっ……!!!

-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2003年4月17日:「ファンタジーな100のお題」公開開始。
2006年5月14日:「ファンタジーな100のお題」完結。
2006年10月29日:「旅の歯車」と名を改めてリメイク開始。
2007年5月4日:「旅の歯車」リメイク作業完了。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

:: Thor All Rights Reserved. ::