036 : しるし
天が轟いて、大地が揺れた。ある嵐の日のことである。
世界の始まりに前触れはなかったが、変容には前触れだってあるものだ。
「さあ、始まった」
雨に濡れた髪をはらおうともせずに、破壊者の少年はほくそ笑んだ。
「そう、そうだ。消えてしまえばいい。このまま全て、雨に流されてしまえ」
けれど、そう簡単に事は運ぶまい。焦るな、機を読み、事は慎重に、そして狡猾に――
……今はこれで良い。けれど、変容はこれで終わらない。
そう。楽しみは、これからだ。